会長挨拶

ごあいさつ

2019年6月に日本経済政策学会の第14代会長に選出されました。日本経済政策学会は、1940年に設立された歴史ある学会で、経済政策全般を研究対象とする経済政策学の構築を志す研究者により、数多の重要な学問的成果が生み出されてきました。こうした偉大な先達を見習い、微力ながら学会発展の為に尽力して参る所存ですので、会員の皆様方にはお力添えをお願い申し上げる次第です。

日本経済政策学会は、全国大会と国際会議をそれぞれ年1回開催しております。2019年は、第76回全国大会と第18回国際会議の開催年となります。前者は日本語、後者は英語を使用言語としており、何れも、重要な政策課題について著名な専門家を招いたシンポジウムが開催されると共に、多くの研究報告が行われております。この他、関東、中部、関西、西日本の4つの部会毎に部会大会を開催しております。また、学会誌として『経済政策ジャーナル』を2003年から、International Journal of Economic Policy Studies (IJEPS)を2006年から刊行しております。これも前者は主として日本語、後者は英語で刊行しております。現在、前者は第15巻第2号(第15巻第1号からオンライン化)、後者はVolume 13 Issue 1を刊行しております。尚、2002年までは『日本経済政策学会年報』を第50号まで毎年刊行しておりました。また、優れた若手研究者を表彰する学会賞を授賞しております。

経済政策学に関する包括的な学会や学術誌は、国際的にもユニークな存在と言えるでしょう。日本経済政策学会は、アジアをはじめ世界の中で経済政策学を研究する中核的組織として、独自の存在感を放っていく事が期待されます。また柳川隆前会長により、学会の国際化の方針が明確に打ち出され、上記IJEPSがシュプリンガー社から発行される事となり、また国際会議での研究発表や、IJEPSへの論文投稿を促す目的で、全国大会において国際学会での発表の仕方や英語論文の書き方についてのチュートリアルセッションが設けられる等、具体的な取り組みがなされております。今後も学会のより一層の国際化に向けて、努力を継続して参りたいと思います。

また経済政策学は、単に経済理論を応用するに留まらず、いかなる社会を希求するかについての倫理的判断を伴い、また解決すべき問題の所在を明らかにし、様々な変数間の因果関係を推定し、政策の効果を客観的に示す為の定量的手法の開発やその具体的問題への適用を必要とします。さらには現実の政策決定プロセス及び政策運営についての理解や、国民性を含む社会の文化的背景への配慮を必要とする、すぐれて学際的・実践的な特徴を備えています。その結果、経済政策の専門家には、倫理学者、データサイエンティスト、政治学者、行政学者、社会学者等の経済学とは異なる分野の専門家や、政治家・官僚、自治体・NPO・NGO職員、民間企業・団体の実務家との対話・交流も必要とされます。学会がそうした場をより一層提供できるよう検討したいと考えておりますし、経済学者のみならず、幅広く経済政策に興味を持たれている専門家、実務家の方々のご参加、ご加入も大いに歓迎したいと思います。

他にも、人間の認知能力の限界や心理的側面を重視する行動経済学的アプローチの経済政策研究への応用、ビッグデータを用いた経済政策研究の新たな可能性、今後普及が予想されるAIを経済政策或いは経済政策の研究手法の観点からどう捉えるべきか等、学会の場で議論されるべき新たなテーマも山積みとなっております。会員の皆様と共に、こうしたチャレンジングな課題にもご一緒に取り組めたらと、密かに期待しております。

最後に改めまして、日本経済政策学会及び経済政策学のより一層の発展の為に、会員の皆様方のご支援、ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

日本経済政策学会

会長 小澤 太郎

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